「経営者のための報酬課税問題」 その9

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「経営者のための報酬課税問題」 その9

  • 2016/09/02
  • 役員報酬

「定期同額給与の疑問点 ②」

■新規設立等の場合の役員報酬の支給時期は?

役員報酬は定期同額が原則ですが、8月31日に法人設立した場合、8月分から支給するのが正しい、と前回述べました。
但し、現実問題として8月分から満額支給している企業がどれだけあるでしょうか。
法人登記をした後に税理士等に税務の相談をして初めて「定期同額給与」の仕組みについて知る経営者がほとんどではないでしょうか。
「会計期間開始の日から3か月を経過する日までに継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定」できるという規定があるため、設立から3か月以内に確定して支給すればよい、との見方もあるが、あくまで「改定」とあるため、報酬の変更を意味しており、この規定は新規設立には当てはまらないと考えられます。

■新規設立等の役員報酬支給時期 3つのケース

役員報酬の支給時期について、以下の3通りが考えられます。
①定款に役員報酬支給額を定めている場合
会社設立時、定款で役員報酬の支給額を定めている場合には、その定めに従って設立月から支給すべきです。定款に定めてあるのですから、たとえ支払っていなかったとしても、経理上未払計上して、後日振り込むなどしていただければよいかと思います。この場合、月額●●円としていれば、その月額を満額払うか又は日割によることも実務上差し支えないものと考えます。
また、支給日について定めていなければ、当月分を当月25日、翌月10日などと、支給日を定めて毎月計上します。支払う余裕がなければ、毎月支給日に未払い経理処理をして、資金のめどがついた時点でまとめて支払うことも差し支えないでしょう。毎月同時期に定額を経理処理することが必要です。
②定款に役員報酬支給限度額を定めている場合
定款に支給限度額を定めている場合には、この時点では役員の個別支給額を定めていないため、取締役会において、支給限度額の範囲内で個別支給額を確定する必要があります。個別支給額を定めていなければ、支払うことができません。この考え方に基づけば、取締役会で定めた支給日(月)以降から支給することになります。
③定款に役員報酬支給額(限度額)を定めていない場合
ほとんどの企業が役員報酬支給額(限度額)を定款に定めずに設立されています。
この場合には、株式会社であれば株主総会で役員報酬支給額(又は支給限度額)を定めてから支給します。株主総会で支給額(支給限度額)を定めずして役員に対して役員報酬を支給することはできません。
株主総会で個別支給額まで確定していない場合には、個別支給額を取締役会で決定した上で支給します。
但し②、③について、設立月から支給せずに事業年度の中途から支給した場合は、果たして「定期同額」と認められるのでしょうか。(次回、つづく)

■このコラムのポイント

・新規設立の際に役員報酬支給に当たり、定款に役員報酬支給額(支給限度額)を定めていない場合には、株主総会により支給額(支給限度額)を決定し、取締役会で個別支給額を決定してから支給することになります。

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