HOME > 3分経営講座 経営改善塾 > 「経営者のための報酬課税問題」 その7
役員報酬は定期同額支給が原則です。法律としては定期同額以外の支給方法以外に、事前届出による業績連動型の支給形態や、事前届出制による賞与支給について、法人税の損金として認められるものがあります。但し、中小企業にはなじまない、と私は考えています。これは次回以降の機会に解説します。
役員報酬は事業年度内定期同額が原則ですが、期首から3か月以内の改定については認められるものの、増額幅あるいは高額との指摘を受けて否認されないように注意しましょう。
役員の退職金も不相当に高額な場合には否認される可能性があります。
役員報酬をどうやって決めるか?①今後の業績見通し③個人の負担する社会保険料・所得税・住民税③役員の財政状態・生活費等の状況。大企業と違って中小企業はとくに業績見通しが難しい。大企業や国・自治体は予算を編成してその予算を必達すべく活動しているのかもしれませんが、中小企業、特に創業まもない経営者の役員報酬を期初に確定させるというのは少し酷な様な気がします。
慎重な経営者なら控えめに設定するでしょう。実際には役員報酬を決めても、何カ月も会社から給与がもらえない経営者は少なくありません。逆に経営者が会社に貸付けているケースも中小企業はかなりの割合に上るでしょう。また中小企業はよっぽど業績や財政状態が優良でない限り、経営者が連帯保証しないと融資を受けられません。
やっと業績がよくなったところで、経営者の切り詰めていた分を取戻し、連帯保証のリスクを軽減するためにも役員報酬を上げよう(戻そう)とするのは自然な考えのようにも思えるのですが、残念ながら税の現場では、高額とみなされ否認されて個人の税金のみならず法人からも税金が課税されてしまうことが今回の見てきた事例のようにあるのです。
税務当局から否認されてからでは、今回のケースのように何年も争わなければなりません。その時間とコストを考えると、何より否認されない様しっかりと頼れる税理士など専門家を顧問にして企業を守っていくことが何よりです。
また万が一、税務上の争点が生じてしまった場合、なかなか税に詳しい弁護士は少ないため、真に頼れる弁護士を選ぶ必要があります。
「社長らは業界トップと言える経営能力の持ち主なのに、近隣の経営者とだけ比較するのは違法な課税処分だ。法人税率より所得税率の方が高いので、租税回避には当たらない。国がみだりに役員報酬をおさえれば、勤労意欲を阻害し、中小企業の活力をそぐ」(山下清兵衛弁護士)
税務当局も法律があるからこそ、国家のため、法律を逸脱していると見受けられる場合に課税してくるわけで、改めて法の見直しも必要なのではないか、という思いも残ります。
- 役員報酬は定期同額。改訂する場合には、増額などの時期・昇給幅等についても慎重に検討しましょう。
- 真に頼れる専門家を選びたい。