HOME > 3分経営講座 経営改善塾 > 「経営者のための報酬課税問題」 その6
東京地裁の判断としては泡盛「残波」酒造会社の主張が一部認められていますが、国税当局から「同業他社などの水準に比べ、相当高すぎる」と指摘を受け、マスコミにも報道され、地元はじめ衆目にさらされることになりました。~平成22年2月期が対象ですので、地裁判決まで既に6年もの歳月がかかっていることになります。税務当局から指摘を受けただけでも納税者の精神的負担は想像に難くありませんが、裁判のコスト・時間、またWEB等で検索しても納税者に関連する批判的コメントは少なくなく、本業への影響も少なからずあったのではないでしょうか。
「この度は当社の税金に関する新聞報道があり皆様に大変なご迷惑をおかけしました。当社としてはコンプライアンスを遵守し高く掲げて経営を行なってきました。そのため役員報酬、役員給与、退職金につきましても決して過大支給とならないように、厳格な支給のルールを作り、それに基づいて支給してきました。××の近郊の売上しか上げられなかった当社を、全県的にそして県外での売上を上げるまでの企業に成長させて、その多大なる貢献に対する適正な措置ということで、××支給した。」などと説明していたようです。
同社の創業者は1990年代に特殊な技術をつかった泡盛の製造法を完成させ、同社を短期間で代表的な企業に育てているとされています。
不相当に高額と指摘を受けないためには、これまで解説したように、非常に専門的かつ難解な要素を含んでいますので細心の注意が必要です。
税法令は毎年改正され、役員報酬のみならず、各税目とも微妙な判断を要することもありますので、その際には税理士等専門家にご相談ください。
- 税務当局の指導に応じないで課税されてしまう(更正といいます)と、国税不服審判所に不服申立て、それでも主張が認められない場合には裁判により争うことになります。
- 今回の事例では、当初申告から地裁判決まで6年もの歳月がかかっており、さらに高裁まで争われると確定するまではさらに時間を要することになります。
- 指摘を受けないためには、日ごろから正確かつ適正な税務処理が求められるとともに、毎年改正される税法令などに精通した専門家にも相談できる体制を整えたい。