HOME > 3分経営講座 経営改善塾 > 相続にかかる遺産分割手続きと相続税 その26
土地5000万円を購入して、3000万円のアパートを建築したとします。不動産を賃貸すると、借地借家権が生ずることになり、相続税評価においてはその分を減額することができます。借地権70%、借家権30%とすると、土地の評価額は5000万円×8割程度×(1-借地権70%×借家権30%)≒3160万円程度、建物の評価額は3000万円×6割程度×(1-借家権30%)=1260万円程度と想定され、併せて4420万円とすれば、購入金額の5割~6割程度となり、相続税は、キャッシュを保有しているより貸家を取得したほうが安くなると期待できます。(相続時に空室となっている部分がある場合には、その面積等に応じて、借地借家権は控除されないことになります。)
さらに、小規模宅地等の評価減が適用されると、貸家建付地の場合200㎡まで50%減額することができます。
アパートなどを建てるより、マンション等の1室を購入して貸す方法はどうでしょうか。
この場合、マンションの場合、戸数が多く高層になればなるほど、一戸あたりの敷地面積は小さくなりがちで、高層マンションほど、売買価額と相続税評価額とのかい離が大きいようです。但し高額になっても、賃料は、部屋面積や立地、築年数などが同じ条件なら、さほど賃料は変わらないことや、空室リスクなど、投資利回りという点での難点も考えられます。
高層マンションの価格が今は高いとしても将来の価値は、冷静に考える必要があるでしょう。
金利がつかない現金で保有するより、賃貸不動産などに換えることにより相続税の節税や運用による収益期待から、不動産投資ニーズが高まってきているようです。また、低金利・好景気を背景に少額の頭金と借入金により不動産を取得することで、さらなる効果を狙うことも期待できる昨今ではありますが、維持管理コスト、空室リスクや、不動産の換金価値の下落リスクなど、人口減もあいまって、さまざまなリスクが伴いますので、購入までには十分な検証が必要です。
- 賃貸不動産の場合、借地権・借家権が減額要素となり、小規模宅地等評価減が適用されるとさらに減額となる。
- 時価と相続税評価額のかい離が非常に大きいマンションなどもある。
- 賃貸不動産を取得する前に、リスクを十分検証することが必須。