相続にかかる遺産分割手続きと相続税 その16

HOME3分経営講座 経営改善塾相続にかかる遺産分割手続きと相続税 その16

相続にかかる遺産分割手続きと相続税 その16

  • 2017/12/22
  • 相続税

「相続税はいくらかかる?(4)」

■配偶者の税額軽減制度について

相続等により取得した遺産額のうち、配偶者が相続する1億6千万円相当額か法定相続分相当額(どちらか大きい金額)までの相続財産に係る相続税が軽減される制度が「配偶者の税額軽減制度」です。
この制度は、相続税の申告期限(10ヶ月以内)まで遺産分割協議が調わなかったり、申告が遅れるなどの場合には、軽減してもらえません。(所定の届出により延長制度あり)

■相続税の具体的計算例

本シリーズ「その13」で引用した、被相続人Aさんの事例で考えてみましょう。
法定相続人 配偶者B 長男C 長女D
(1)純資産額1億円(自宅土地6000万円+家屋1000万円 含む。)
(2)1億円-(3000万円+600万円×3人)=5200万円課税遺産総額
(3)5200万円×1/2(妻B)×15%-50万円=340万円
5200万円×1/4(C,Dそれぞれ)×15%-50万円=145万円 (×2人(C,D))
相続税の総額は630万円です。
配偶者Bが全て相続した場合、遺産額>1億6千万円ですので、相続税はゼロになります。
一見その方が特に見えますが、いくつか問題点があります。

■二次相続問題

将来、配偶者Bが死亡した場合、Aから相続した遺産1億円に加え、Bの固有財産が、相続税の対象になります。B固有財産が3000万円あるとしましょう。
(1)(1億円+3千万円)-(3000万円+600万円×2人(C,D))=8800万円課税遺産総額
(2)8800万円×1/2(C,Dそれぞれ)×20%-200万円=6800万円(×2人(C,D))
相続税の総額は1320万円になってしまいました。
もし、Aの遺産を子2人で分けた場合、相続税は630万円で、Bの相続では相続税は0円です。
遺産をどう分けるかは、遺言等がなければ、相続人等の意向に沿って決めていくものですが、2次相続も含めて、どう分けるかによって相続税負担額が大きくなる可能性もあります。

■遺産分割問題

二次相続で相続税が大きくなるからといって、被相続人Aの遺産を配偶者Bに一切相続させないとなると、Bさんはどう思うでしょうか。Bの法定相続分は2分の1。相続争いに発展した場合どうなるか、次回考えてみたいと思います。

■このコラムのポイント

  1. 配偶者の税額軽減は、1億6千万円又は法定相続分まで配偶者が相続しても相続税が軽減される制度。
  2. 一次相続のみならず二次相続のことも考えることが相続税をトータルで軽減させることができる。
  3. 税金を優先するばかり思わぬ問題に発展することも。

奈良会計事務所へのお問い合わせ、資料請求(無料)はこちら

税務、労務のお悩みはお気軽にご相談ください

お電話でのお問い合わせ 03-5225-3433 受付時間:9:00~18:00(土・日・祝および指定休日除く)

メールは24時間受付中

メールでのお問い合わせはこちら

経営改善塾

「お客様の信頼を第一に」奈良会計事務所

事務所について

事業所概要

奈良会計事務所/
奈良社会保険労務士事務所

東京都新宿区神楽坂1-2
研究社英語センタービル5階
TEL:03-5225-3433(代表)
FAX:03-5225-3123

主な活動

これまで大手企業を含む約500社超の税務会計業務支援、会社設立、再生支援などに携わる。一方、金融機関でのファイナンシャル講座、社会人向け戦略財務講座などの講師を担当。グローバル競争における企業の戦略財務について研究。

事務所へのアクセス

アクセス