HOME > 3分経営講座 経営改善塾 > 「税務調査の実態」 その3
法人税の税務調査においては、①収入の計上漏れ、②経費の過大計上や損金とならない費用の計上、③収益・費用の計上時期のずれ、④無申告 が問題となりますが、今回は①収入計上漏れについて説明します。
預貯金に入金になった売り上げを漏らすことはまずないでしょう。
ところが飲食店業などのような現金商売については、預金などに入金しなければ気づかれないということが想定されます。
そこで、税務当局の対応としては、開店前の店などに無予告に赴いて、レジや金庫などの実態を把握すべく、税務調査が行われることがあります。
ポイントとしては前日の売上が計上されているかどうか、レジペーパーや売上帳などの帳簿等の記録とレジや金庫の金額の差異や金庫の現金のたまりを確認されます。場合によっては、社長や事業主の自宅に赴くこともあるかもしれません。帳簿等の記録と前日以前の売上回収金額との差異がないこと(差異の説明ができること)がポイントとなるでしょう。
それ以外にも、税務職員が前日飲食した金額がレジに記録されているか、印をつけたお金が金庫にはいっているか確認をしたり、割り箸やおしぼりの数から推定される売上金額との差異を検討することもあります。
請求が翌期(翌年)であっても、商品の引渡し日、役務の完了日が、当期であれば当期に売上を計上しなければなりません。製品やソフトウエアのような一定の制作物など相手方の検収がある場合、検収日を持って売上計上日とすることも可能です(継続適用が条件)
税務調査においては、契約書・請求書・納品書等を中心に見ていきますが、宅配便の送り状、翌期(翌年)の請求書・納品書・通帳から、売上計上漏れが指摘されることもあります。(③収益計上時期のずれ)
税務調査によって判別しがたい取引については、取引先に行って確認する半面調査が行われることもあります。
このように税務調査は「何でもあり」のように思えますが実は厳格に法律や規則があり、通常の税務調査は「任意調査」といわれるもので、税務署員が、納税者の理解と協力を得て行うものです。また、税理士は納税者に代わって、中立的立場から税務当局との対応をしていくことができます。
- 現金商売などについて突然税務調査がはいることもあり。
- 入金にかかわらず売上計上基準(引渡・検収など)に基づいて売上計上する。
- 通常の税務調査(任意調査)は、納税者の理解と協力を得て行われるもの。