HOME > 3分経営講座 経営改善塾 >「平成25年度税制改正をうまく活用しよう!」(相続税編その2)
先日、長男より相談を受けたこんなケース。
世田谷区に土地40坪(自宅) 路線価6000万円 建物(自宅)固定資産税評価額1000万円
父が体調崩しており、近いうちに相続発生しそうとのこと。父は、鉄製品の加工業を数十年営んでおり、ここ10年ほどは経営厳しい状態だが、幸いにも銀行借り入れはないが、父が運転資金のため既に5000万円ほど貸し付けていた。ほかに個人として手元現金は2000万円ほどある模様。母は既に他界。
さて、この場合、相続税はどうなるのか?
自宅を長男が相続し、引き続き居住する予定とのことで、240㎡(H27年以降330㎡)80%相当額が評価減される制度を適用すると、土地の評価額4800万円軽減できることになる。
経営している会社は、父の保有している株式評価により相続税課税されることになるが、調べてみると債務超過となっており、評価ゼロ。問題となるのは、4000万円の貸付金で、これは、父の会社に対する貸付債権ということになり、相続税の対象になってしまう。
父の財産総額=土地6000万+家屋1000万+貸付金5000万+現預金2000万=1億4000万
ここから、宅地等評価減▲4800万、基礎控除5000万+1000万×法定相続人数(2人)=7000万控除すると課税価格は2200万円ということになるが、相続税の総額は230万円となる。
1、遺産を兄弟でスムーズに分割できればいいのだが、相続開始後10月以内の相続税申告期限までに分割できなかった場合には、上記土地の評価減は適用できなくなってしまう。このケースでは、相続税総額で1000万円に膨れ上がってしまうので注意が必要だ。
2、会社への貸付金だが、回収のめどが立たないため、大半を債務免除とすることを提案した。債務免除益は法人税の対象だが、幸い過去の繰越欠損金(税務上の赤字)が5000万円以上残っていたので、これを処理すれば、相続財産は消えることになる。正味財産は9000万円ということになり、法定申告期限までに申告し、評価減を活用すれば相続税がかからなくなる。
3、平成27年以降基礎控除 3000万円+600万円×法定相続人数 に引き下げられます。相続の時期は選べませんが、事前の相続税対策は可能なのです。
1、遺産をどう分けるか?特例は使えるか?生前の対策はないか?
2、平成27年以降の相続税の基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人数。
3、経営者は、早めの相続税対策を。