HOME > 3分経営講座 経営改善塾 > 「半沢直樹」に見る融資の実際 その6」
上場企業等の経営者が借入金に対して連帯保証するケースはほぼない。一方、ほとんどの中小企業経営者は、銀行借入やリースなどに対し、個人で連帯保証しているため、会社が弁済できなくなると、連帯保証人たる経営者が督促されることになる。個人保証のみならず自宅を担保に借入していることもあり、会社も経営者も返済できなければ、会社・経営者とも破たんすることになってしまう。
借り入れ返済は、利息しか費用にならないから、この場合、
純利益(税引き後)が400万円(年返済額420万円―利息約20万円)以上にならないと、資金繰りが苦しくなると考えるべきであろう。(実際には、減価償却・売掛回収・買掛支払・設備投資などの要因があって必ずしもそうはならない。)
これに対し、平成25年12月に発表される経済対策によると、早期に会社清算や再建に取り組める仕組みを作るべく「経営者保証制度」が抜本的に見直される見通しだ。
中小企業が業績悪化で資金繰り困難に陥ると保証制度に基づき経営者の財産で弁済していくことになるため、早期に私的整理となれば、経営者の生活にもかかわるため踏み切れず、さらに財務内容が悪化してしまうことになる。
今回の見直しでは、経営者に一定の生活資金として99万円~460万円程度現金で残すことが認められる。また、生活拠点となる自宅も華美でない場合は残すことも可能になる。さらに、私的整理になったという利用だけで一律に経営者の交代を求めないよう配慮する。具体的には、債務整理した事実を信用情報機関に登録されることがなくなることにより、再度起業する際の新規事業資金調達への道も開かれやすくなりそうだ。
経営者が個人財産を売却して弁済後残った借入金は、金融機関が債権放棄に柔軟に応じる。その代わり、経営者は自らの財産状況を正確に開示することが求められる。後で資産隠しなどの嘘が明らかになった場合、追加弁済を迫れるようにする。
これらの新制度は、平成25年度内成立を目指し、法的拘束力はないものの、金融庁が検査監督を通じて金融機関に対しルールの徹底を求めていくことになるようだ。
金融庁との戦いはドラマ半沢直樹でも派手に取り上げられていましたが、この制度が浸透してくると、経営難の企業の清算・廃業が進む一方、経営者の生活再建や、失敗を糧に再度起業にチャレンジする人々の意欲にも期待をしたいものです。
1、私的整理により企業清算等する場合の、経営者保証制度等が見直されることに。
2、一定の生活資金や自宅を残すことが可能に。一定要件の下、信用情報機関(いわゆるブラックリスト)登録されない方針。
3、平成25年度内成立させ、法的拘束力ないものの金融庁通じてルール徹底される見通し。