「経営者のための報酬課税問題」 その10

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「経営者のための報酬課税問題」 その10

  • 2016/09/16
  • 役員報酬

「定期同額給与の疑問点 ③」

■新規設立等の役員報酬支給時期の矛盾

役員報酬の支給時期は、原則として事業年度内毎月定額を支払う定期同額給与が税務上損金(費用)とされることをこれまで説明してきました。
新規設立法人についても同様の取り扱いであり、設立月より役員報酬額を定めて支給することが求められるのです。
ところが会社法上、役員報酬を支給するには、定款の定め又は株主総会決議が求められるため、定款に定めていなかったり、設立月に株主総会を開催して役員報酬支給額(又は限度額)を定めていない法人が多いのではないでしょうか。
また、役員と株主が異なる場合、「会社設立はしたけれど事業自体スタートしていない段階で役員報酬を初月から約束するなんてとんでもない」と主張する株主もいるかもしれません。会社法上、役員報酬を設立初月から定めて支払わなければならないなんていう規定はありません。ここが税法と矛盾しているところです。

会社法に基づけば、定款に役員報酬(限度)額を定めてない限り、株主総会決議で決議しなければ役員報酬は一切払うことができません。また、支給限度額を定めても各役員の個別支給額を決定しなければ払えない。つまり個別支給額を定めるまでは、会社は役員報酬を支払うことができないのです。
個別支給額を定めた月から事業年度末月まで定期同額で払うなら、会社としての法定手続きに基づく支給開始月の違いがあるだけで役員報酬額を事業年度内に変更しているわけではありません。

以上のとおり、会社設立後、株主総会で役員報酬支給限度額を定め、速やかに取締役会を開催して個別支給額を決定し、その月から定額支払うことで、定期同額給与と認められる可能性はあると個人的には考えます。
但し、税法解釈によって判断が異なり、税法上問題がないと断言はできません。
専門家等とも協議し慎重な取り扱いが求められるところであります。

■このコラムのポイント

・会社設立月より定期同額により報酬支払うのが税務上の原則。
但し株主総会により支給限度額を定め、速やかに取締役会開催し個別支給額を決定して支給する場合、税務上の是非について必ず専門家に確認するようにしましょう。

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