HOME > 3分経営講座 経営改善塾 > 「経営者のための報酬課税問題」 その8
役員報酬について法人税法上損金(経費として控除されること)と認められるのは以下の3つに限定される。(法人税法第34条)
① 支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの。(定期同額給与)
② その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与。
③ 同族会社以外の業務執行役員に対して支給する利益連動給与
これらのうち、②は事前に税務署に届出しなければならず、かつ届出した額と実際に支給した額とが異なる場合には損金に算入されなくなるため、注意が必要です。①については、事前に届出する必要なく各企業で自由に決められるのだが、①~③いずれも不相当に高額と指摘受けた場合に否認される可能性がある。
会社を新規設立した場合、最初の役員報酬の支給月はいつにすべきか考えてみたい。
8月31日に法人を設立したら役員報酬の支給時期はいつにすべきか。
「会計期間開始の日から3か月を経過する日までに継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定」できるという規定があるため、設立から3か月以内に確定して支給すればよい、との見方もあるが、あくまで「改定」とあるため、報酬の変更を意味しており、この規定は新規設立には当てはまらない。
法人税法第34条に照らせば、8月分から支給するのが正しい。
8月31日就任でも1ヵ月分支給してよいし、日割り計算でも制度の趣旨から見ると認められるべきと考える。
でも考えてみてほしい。
8月31日に会社を設立して8月31日に1ヵ月分支給する会社がどれだけあるだろうか。
数年前、国会議員が8月30日に当選してわずか2日の在任期間に対して、1ヵ月分の報酬(歳費・通信費)が支払われて問題になったが、今現在も日割り制度はなく、今後の改正を望みたい。
さて、8月31日設立ということは、法務局に登記申請した日がそれにあたるが、申請から10日前後で謄本が出来上がり、その謄本をもって銀行口座開設まで数日。何よりこれからどう事業を軌道に乗せようかを最優先に考え、自分の給与をいくらにするとかまで考えが及んでいない経営者がほとんどではないかと思いますがいかがでしょうか。
会社設立前から、年間の収支見通しをたて、その上で人件費の割合を想定し、その中から役員報酬までも設定した上で設立する創業者は経験上非常に少なく、役員報酬については希望的観測が精いっぱいというのが中小企業の創業者の現実です。
8月31日設立日時点に会社の銀行口座もなく、どうやって役員報酬を支払うのでしょう。
次回、その核心に迫りたい。
- 役員報酬は定期同額支給が原則。
- 新規設立の場合、原則としては設立月より支給する。但し、設立後3か月以内に定めればよい、という見解もあるが、否認される可能性は十分ありうる。ではどうすればよいのか(次回)