HOME > 3分経営講座 経営改善塾 > 「私たちの年金問題」 その2
国民年金保険料は、2016年(H28)年4月~16,260円(月)となっていますが、今後も毎年見直される方向です。
一方、厚生年金保険料は、給与月額・通勤手当等より報酬月額表にあてはめて算定しますが、2016年10月現在、標準月額報酬×18.182%を事業者・被保険者それぞれ負担します。厚生年金負担額は現時点で最低でも本人負担月額8,909円、報酬月額に応じて負担が増えることになります。報酬月額30万円の場合の被保険者負担額は、25,454円(2016/9月分)となり、国民年金保険料より1万円弱増えることになりますが、事業者も同額負担しますので、将来もらえる年金も受給要件に抵触しなければ必然的に増えることになるでしょう。
つまり、国民年金加入者は一律月額15,260円負担するのに対し、会社員等の厚生年金加入者は、給与等報酬額によりますが、最低でも本人負担額8,909円、但し会社負担額が同額ありますので、労使合計で17,818円の負担となり、将来給与受給者本人がもらえる年金額も、加入年数等にもよりますが、国民年金部分にあたる老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金が加算されて受給できることになると期待できるのです。
国民年金の納付率は1990年代前半頃は85%を超えていましたが、2011年度に60%を割り込み、近年徴収強化などにより改善見られるものの、免除・猶予者を含めると、なんど半数以上の対象者が納めていないことになります。(一部納付を含む納付者は47%[2014年度総務省統計調査])
このような由々しき事態に、国民年金保険料の滞納者に対して年間所得350万円以上の滞納者を対象に強制徴収を実施しているが、滞納にさらなる歯止めをかけるべく2017年度からはその対象を年間所得300万円以上に引き下げる方針を打ち出すこととなったようだ。
1980年頃まで日本の65歳以上の高齢者は全人口の1割以下だったのが、現在は4人に一人が65歳以上、2035年頃には3人に一人、2050年頃には4割が65歳以上となると推計されている。
年金の需給構造もまた、かつては9人で高齢者1人を支える「胴上げ型」から、現在は3人に一人を支える「騎馬戦型」、つまり年金受給者1人に対して、3人が年金を負担する構造に変わってきています。さらに2050年頃には、現役世代1.2人で1人を支える「肩車型」になるとも言われています。
こうなると、年金負担額はこれまでよりさらなる負担が求められることになる。
一方で滞納額に歯止めをかけなければ、年金制度自体破たんしかねないといった事情が、強制徴収の背景にありそうだ。
- 国民年金保険料は月額16,260円(2016.4月現在)。
- 国民年金の滞納が深刻になり、徴収強化がすすめられている。
- 年金受給者一人に対して3人が年金を負担する「騎馬戦型」から、将来は1.2人で1人を支える?