HOME > 3分経営講座 経営改善塾 > 2020年度税制改正~税制改正大綱より その4
法人税・消費税の申告期限は決算日から2か月以内とされていすが、法人税については申請により1か月(またはそれ以上)の延長が認められているものの、消費税について延長制度はありませんでした。
大企業などは、決算監査などと申告業務が重なり、決算業務の負担が大きいようですが、改正により、消費税について1か月まで延長申請可能となり、1カ月伸びるだけでも事務負担軽減につながりそうです。
但し、申告期限はあくまで決算日から2か月以内ですので、納税は3カ月目以降、利子税がかかることになりますので、節税という点では、2カ月以内に予納するなど、なるべく早めの申告納税が望ましいでしょう。
国内で建物を購入する場合には、建物本体価格に消費税が課税されますが、消費税課税事業者の居住用賃貸建物の課税仕入れについては仕入税額控除の対象外となり、建物にかかる消費税の還付が受けられなくなります。
居住用賃貸建物から生ずる住宅の賃料は消費税が非課税であるため、本質的には、非課税売上に対応する居住用賃貸建物にかかる消費税の仕入れ税額控除は受けられないことになります。但し事業の大半が消費税課税売上であるなど課税売上割合等の要件を満たす事業者は仕入税額控除が可能となっていた。令和2年10月以降、居住用賃貸建物の課税仕入れについては仕入税額控除の対象外となりますので、これらの建物にかかる消費税の還付が受けられなくなるよう改正されます。
但し、対象となる建物をその取得日の属する課税期間の初日以後3年を経過する年度の末日までに住宅貸付以外の用に供した場合又は譲渡した場合には、譲渡日等の属する課税期間の仕入税額に加算して調整することができるようになります。
住宅等など居住用の貸付については、消費税非課税扱いとなり、賃料には消費税が上乗せされていません。但し、今回の改正により、契約上、貸付用途について居住用であることの記載がなく、かつ建物の状況などから居住用であることが明らかでない場合には、消費税の非課税扱いとせず、課税対象として扱われることになります。
よって、貸付者が消費税課税事業者で、建物を貸付して賃料収受している場合、契約上「居住用」と明記せず、現況も居住用途か否か明らかでないときは、消費税課税対象として、消費税課税売上に含めて計算しなければならないことになります。
このように、居住用で貸し付ける前提の場合には、契約上の使途を「居住用」と明記しておかないと、思わぬ消費税負担を強いられることが考えられますので、ご注意ください。
- 消費税申告期限が申請により1か月間延長されます。
- 居住用賃貸建物にかかる消費税について仕入税額控除が受けられなくなる。但し、3年(課税期間)以上居住用以外の用に供していた場合には、控除調整行われる場合も。
- 建物の貸付用途が契約上も現況も明らかでない場合には、消費税非課税扱いにならない場合あり。